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スピーチエイドによる治療

軟口蓋挙上装置(なんこうがいきょじょうそうち)・スピーチエイドについて

口蓋裂を閉じる手術後から、正常な構音(発音)をするために言語訓練が始まります。言葉を話し始める時期には個人差がありますが、言語訓練はまず生活の中の遊びを取り入れながら始まり、本格的に言葉の構音練習へと移行していきます。その時必要となるのが軟口蓋挙上装置・スピーチエイドと呼ばれる発音補助装置です。
しかし、訓練する全ての人に必要という訳ではありません。
人は、食べたり話したりする時には上の顎の軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる所の筋肉が上がり喉の奥に接します。そうすることによって食べ物や声が鼻に漏れないようになります。この筋肉が喉の奥に接する機能を鼻咽腔閉鎖機能(びいんくうへいさきのう)といいます。
鼻咽腔閉鎖がうまくいかない場合、声が鼻に抜けたり(開鼻声:かいびせい)、喉を詰めたような構音になります。軟口蓋挙上装置・スピーチエイドはその鼻咽腔閉鎖のお手伝いをする装置です。
(手術を受けていない方でも、鼻咽腔閉鎖機能が低下している場合には、言語訓練・軟口蓋挙上装置・スピーチエイドが必要となることがあります。)
 

軟口蓋挙上装置・スピーチエイドはまずお口の中の上の顎の型どり・写真撮影をすることから始まります。3歳前後のお子さんが多く歯科に来るだけで泣いてしまう子は少なくありません。そういった場合は、まず歯科の環境に慣れてもらうように心がけています。歯磨きをしたり、型どりをする器具や材料を見たり触ったりすることから始めます。訓練と共に長期に渡って通院する場合が多いため、本人と保護者に出来るだけ継続して来院していただける関係を作ることを心がけています。
型どりが終わると装置が出来上がりますが、まだ完成ではありません。軟口蓋挙上装置・スピーチエイドは装置の後ろに針金の通ったプラスチックのしっぽをつけなければなりません。しっぽはお口の中にプラスチックの材料を入れて合わせていくので何度も出したり入れたりを繰り返します。
初めてのときは嘔吐が出たり材料が臭くて辛いことも多いですが、慣れてきますので大丈夫です。合わせていく時には「あぁー」っと声を出し、発音をみながら行います。
後ろのしっぽが出来上がれば完成となりますが、傷など出来る場合がありますので調整は必要となります。また言語訓練が進むのと平行してお口の中にも変化が出て来ますので、装置もその度に調整が必要になります。(成長と共に作り変えることもあります)
スピーチエイドは本人もしくは保護者が装着の取り外しを行います。装置を入れる初回に装着と取り外しの練習を行います。歯にひっかける金具があり最初は難しいですが何回か繰り返すうちに出来るようになります。慣れてくると装置を噛んで装着するお子さんがいらしゃいますが、壊れたり変形する原因になりますので手で入れるようにしましょう。
お子さんにとって装置を入れることはとても違和感があります。お口がうまく閉じられなかったり唾が飲み込めないもどかしさがありますが、短時間の装着からはじめてもらうことによって、1日中つけておくことも可能になります。
 

☆スピーチエイドは常にお口の中に装着しておくことが必要です。そのためお口の中がとても不潔になりやすい状態です。虫歯があると装置を装着することが困難になる場合がありますので装置もお口の中も清潔に保つようにしましょう。