口唇裂、口蓋裂は先天性の疾患で約500人にひとり程度の割合で生まれてこられます。
原因ははっきりとはわかっていませんがいろんな因子が関与していると考えられています。遺伝もはっきりした遺伝形式があるわけではありませんが、血縁者に口唇裂・口蓋裂の方がおられる場合、出生頻度は少し高くなります。しかしながら実際のところは原因として思い当たるものが何もなく生まれてこられることが圧倒的に多い印象です。
主に口唇、鼻、歯ぐき(上顎)、口蓋といった部分はお母さんのお腹のなかで5〜12週目頃にできあがります（若干文献により何週目かは差があります）。口唇裂や口蓋裂はその形づくられる課程の中で何らかな異常がおきて発生したものと考えられていますが、5週目頃といえばまだ妊娠に気付いておられないことも多く、そんな早期に発現する疾患です。

また左右片方だけに裂のある場合と両側に裂のある場合があります。

特殊な例として、軟口蓋が一見ひっついているのですが、真ん中で筋肉のつながりが断裂している粘膜下口蓋裂という状態があります。なかなか発見されにくく、構音不明瞭なことから３，４歳になってからみつかることが多い病態です。

口唇裂の形
【A】右完全唇裂 【B】右不全唇裂 【C】両側完全唇裂 【A】と【C】の絵は歯ぐきも割れているので唇顎裂を示しています

口蓋裂の形
【A】右唇顎口蓋裂の口蓋裂部分 【B】両側唇顎口蓋裂の口蓋部分