口唇口蓋裂児と母親が出生後すぐに直面する最初の問題は授乳ではないでしょうか。
母と子の哺乳のお手伝いするものが口蓋床と呼ばれるものです。
唇裂のみではほとんどの場合使用することはありませんが、口唇口蓋裂・口蓋裂の場合は必要となります。
口蓋床とは… 口蓋床はHotz床(ホッツしょう)とも呼ばれます。
口蓋床は生後間もなく(児の状態によって個人差があります)上の顎の型どりをして作ります。その時、型どりをして出来た模型はその後の治療や手術などに役立ちます。
型どりの際に保護者の方は大人でも型どりは辛いのにこんな小さな子にと、心を痛める方もいらっしゃると思います。当院では、できるだけ辛くなく児に対して安全な方法で行っています。
口蓋床はプラスチックの樹脂で出来ています。鼻と口を分けるだけでなく舌が口蓋裂の部分に入り込むのを防ぎ、正常な口腔内に近い状態を作ります。口蓋床の前方には舌が乳首を捕える溝が作ってあります。その溝があること、また口蓋床で人工的な口蓋を作ることで授乳の手助けになります。口唇口蓋裂児が口蓋床を使用しないで授乳する場合は、乳首を密着させたり口の中を陰圧にすることが難しく上手く飲むことができないことがあります。
口唇口蓋裂用の乳首も市販されていますが、それだけでは授乳は困難でしょう。
鼻からチューブを入れ直接栄養を摂ることもありますが、口蓋床を装着し、できるだけお口から飲むことをお勧めします。
口蓋床を最初に入れた時はお口の中でぐらぐらして安定しない感じがしますが、赤ちゃんは保護者が思うよりも早く口蓋床に慣れていきますので大丈夫です。
口蓋床はお口の中に入れたら終わりではありません。口蓋床は入れ歯と同じように、あたりができて傷が出来ることがありますので必ず調整が必要です。定期的に歯科医院を受診しお口の中に口蓋床で出来た傷がないかなど診てもらいましょう。
また、口蓋床は顎の正常な形に誘導する作用により、顎の成長発育を促進するように繰り返し調整、再製することで口唇口蓋裂の術前顎矯正効果を図ることができます。
赤ちゃんの成長や口唇を閉じる手術の後に口蓋床の作り換えが必要になります。
個人差がありますが安定剤など口蓋床をはずれにくくする材料を使用することもあります。
赤ちゃんの成長が進むにつれて、手で口蓋床を外したり舌で押し出したりするようになり保護者の目の届かないところでしばしば紛失することがあります。紛失した場合はすぐにかかりつけの歯科医院に連絡しましょう。
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口蓋床 |
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