唇裂初回手術を行った後様子をみていると、バランスや傷跡などもう少し修正してあげた方が見た目上好ましいことがあります。ただし修正はその内容によってはいつしてもいいというものではなく、成長のなかで考えていくことになります。
1.就学前
- 顎裂はまだほとんど未治療のため、小鼻のふもとの高さが片側唇裂では左右差のあることが多い。
- 白唇、赤唇の傷跡の縫い直しやその際にその部分のバランスを整えに行くのは可能。
- 小鼻の左右差もそのときに少しは修正可能。
- 鼻の穴のゆがみが著しい例では唇裂初回手術に準じた皮膚剥離による鼻修正も可能。
- 多くは年長さんの春から夏頃に行っている。その後は顎裂骨移植後まで様子をみていることがほとんど。
両側唇裂で鼻柱が短く小鼻が開大した症例では鼻骨の成長抑制を防ぐため、3,4歳頃に鼻柱延長術を行っています。他施設で手術を受けられた子供さんに多いのですが、鼻の手術は高校生までしないと指導され、鼻骨が押さえ込まれたまま大きくなられた方がときどき来院されます。その場合、鼻柱を高くする手術は鼻柱だけでなく鼻骨部も高くする手術が必要になります。
2.顎裂骨移植後
就学前に修正手術をした場合、その後は多くの場合、顎裂に骨移植するまで様子をみます。骨移植すると小鼻のふもとの形が少しかわることがあるので、その結果を見てから修正を考えることになります。骨移植をしても小鼻の雰囲気がかわらず、沈んだようになっている場合や、就学前の修正を見合わせた症例などでは、片側唇裂の場合就学前と同様の修正を行うことになります。
3.成長終了後
顔の成長は男子で高2頃、女子で中3頃にほとんど終わります。鼻の形を最終的に整えるのはこの時期以降になります。それまでは鼻の修正は皮膚の下をはがすだけでしたが、成長が終わった後は軟骨を糸でよせたり、一部切除したり、たしたりとダイナミックな手術をすることが可能となりシャープな形にすることができます。ときに鼻筋を通すため、肋軟骨やシリコンを移植することもあります。
顔は赤ちゃんから大人へと当然成長していきます。その中で1歳頃非常にバランス良く綺麗な手術瘢痕だった場合でも10歳、15歳と成長していくと左右差が出てくる場合があります。また逆に時間をかけて左右対称になってくる場合もあります。長い目で経過を見ていく必要があります。 |