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広島口唇裂口蓋裂研究会

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PNAM(ピーナム)について

PNAMとはpresurgical nasoalveolar molding(術前鼻歯槽形成)の略語で、口唇の手術前に特殊な口蓋床を用いて鼻を矯正する行為を指します。
 

通常小鼻の軟骨は、生後数ヶ月の間は柔らかく形状が変形していく能力を有しています。口唇裂や口唇口蓋裂の子供さんは鼻の変形を伴いますが、口唇裂の手術までそのままにしておくのではなく、小鼻の軟骨が変化する期間に我々は少しでも矯正して、いいかたちにモデリングしていきます。そして口唇の手術をしただけで鼻の形が左右対称に近くなるように、もしくは口唇の手術をした際少し鼻に手を加えただけで左右対称になるように、手術前に下準備をしておきます。それがPNAMの考え方です。
 

口蓋床は生後まもなく型どりを行い作製します。そして口蓋床単独および口唇テーピングにより1ヶ月ほどかけて歯ぐきを少しよせてきます。その後にPNAM用の鼻の軟骨を挙上させる樹脂のついたワイヤーを口蓋床に取り付けます。
 

PNAMを行っているときはミルクを飲むときに少しずつ鼻の軟骨を押し上げるため、ときにミルクの飲む量が減ったりすることがあります。そのため挙上量は痛くない程度にこまめに調節していく必要があります。
 

PNAMの効果としては小鼻の軟骨の矯正以外に小鼻基部が前方に押し上げられることから連動して後退した外側の歯ぐきを前方に引き出す効果も期待できます。ただPNAMの装置をつけるかどうかは患者さんごとに決めさせて頂きますので、中には装置をつけずに様子を見ていく方もおられますが心配なさらないでください。



 

治療開始直後
【治療開始直後】
唇裂手術直前
【唇裂手術直前】
扁平な左小鼻を装置で持ち上げることで
丸く湾曲した形状に矯正されます