No.169への返信

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鼻腔レティナについて

はじめまして、片側不完全口唇口蓋裂の生後3ヶ月になる娘を持つ親です。
先日、初回の口唇と鼻の形成術を終えました。抜糸後、レティナを試したのですが、サイズがあわず(健側の鼻腔にサイズを合わせると患側は隙間ができ、患側に合わせると健側は少しきつそう)、装着なしで経過を見ましょうとのこと。
サイズが合わないなら仕方ないので、主治医に従うまでですが、一体レティナってどれほど効果のあるものなのでしょうか?
装着した例、しない例で差はありますか?

[169] りん (2012/02/07 Tue 15:50)


Re: 鼻腔レティナについて

メッセージありがとうございます。
 レティナ使用の目的は鼻の形状の矯正ですが既製品であるため万能ではありません。我々の施設の場合、唇裂患者さんに用いるのは5年に一人ぐらいなので、直接治療を受けている患者さんのほとんどはレティナというものがどういうものかご存じないと思います。

 唇裂の子供さんは鼻の形状が非対称で裂側の小鼻の軟骨は外側に流れた平らな感じになっています。
 軟骨は生後早期は形を色々と変えることができます。PNAM型口蓋床は生後早期から前についたボンボリで鼻を押し上げ手術前に軟骨の形状を矯正しようという試みです。
 レティナも手術後に形を健側にできるだけ近いものに持って行こうという試みの中で使用されます。
 ただし月齢が大きくなると軟骨の形状は記憶されますのでレティナによる矯正は効果が出ません。

 術前の平らだった鼻を手術で丸くする場合、内周側の軟骨と外周側の表面皮膚とは少しずつずれていった方がすんなり丸くなります。そのため術前変形が強い場合、軟骨と皮膚の間を当科でははがしていますし、いくつかの施設で同様のことが行われています。その際にレティナを使うと比較的鼻の形状を矯正しやすくなります。
軟骨周囲をはがさずにレティナを用いると当然後戻りしようという力が働きますし、最初いびつなかたちをしているためレティナがフィットしません。
 後半に続く

[170] 形成外科 木村得尚 (2012/02/08 Wed 10:30)


Re^2: 鼻腔レティナについて

レティナを使う問題点は
@フィットしていないとかなり痛いこと。私は研修医時代一晩入れて寝てみましたが翌朝鼻先部が赤くはれてしまいました。
A鼻孔床の手術瘢痕部に直接あたり潰瘍形成したり肥厚性瘢痕の原因になる可能性があること。
Bめったに使わないので最近のレティナがよくわかりませんがサイズの小さいものも大きいものも同じ形をしていること。大人は鼻の穴の形は逆八の字形状ですが赤ちゃんはもっとまるい形状なので古いタイプは赤ちゃんの鼻にあっているとは言い難いかたちをしていました。
C両側唇裂の多くは鼻柱が短いことが多いのでかなり手術で鼻に操作を加えないとレティナははいらない。
 などがあげられます。

 りんさんの症例では鼻の床部分の瘢痕の形状、鼻の軟骨上を剥離したかが不明なのでどの程度適応性があるのか分からないですが主治医の判断通りで良いのではないでしょうか。

 我々がめったに使わない理由は
過去に鼻孔底に潰瘍ができたことがあった。
必ずしも隣の鼻の孔と同じ形がベストなわけではない。
 などです。
術後1〜2ヶ月当科の手術法ではときに鼻孔が狭小化することがあり、その間は健側より気持ち大きめの大きさにしてもらっています。そのため鼻に綿をつめてもらっています。この方が鼻孔の床部分にもやさしく調節が効きやすいからです。

 下からのぞき込んだ鼻の形状を左右対称にするのは結構難しいものですが、日常生活の中でそういう方向からみられる状況はほとんどありません。正面視で左右差がないなら我々は不全唇裂の場合あまり鼻の形状にこだわっていないことも多いです。

 参考になりましたでしょうか。

[171] 形成外科 木村得尚 (2012/02/08 Wed 11:28)


Re^3: 鼻腔レティナについて

早速の返答ありがとうございます。
うちの子は不完全のなかでも裂幅も広く、鼻の変形もひどい方だと思われます。
術前に比べ大分改善されましたが、正面視でも鼻の形態は左右差が若干見られます(鼻翼の形に左右差あり)。レティナでさらに改善が見込めるなら、と思い質問させていただきました。
主治医からの手術の説明の中で鼻のずれている所を骨から剥がす処置を施すと仰ってました、(木村先生の仰る軟骨剥離のことでしょうか)また、初回手術では、今後の成長を妨げないため、鼻の操作は最小限にするとのことでした。
いずれにしてもレティナにもメリット、デメリットがあり、娘には装着することが必ずしも良いとは限らないということがわかりました。左右差は少し気になるのですが、この先、修正手術もありますし、焦らずにいきたいと思います。
わかりやすい説明、ありがとうございました。

[172] りん (2012/02/08 Wed 16:44)


Re^4: 鼻腔レティナについて

鼻のずれている所を骨から剥がす処置を施すと仰ってました
 これはおそらく鼻柱が斜めになっているのを治すことをさしていると思われます。鼻中隔軟骨前方部を前から数ミリ骨からはがすことで鼻柱をまっすぐにされた、もしくはまっすぐに近づけられたのだと思います。
 鼻の丸い形状に影響を与えるメインは小鼻部分の軟骨です。この部分に幼少時から操作を加えると鼻の成長に良くないという意見があり、主治医の先生はそちらの立場でおっしゃったものと推察されます。我々は少しの左右差の時は小鼻に触れず、おおきな左右差のでるときのみ最小限の剥離を加える、というスタンスでやっています。
 小鼻部分に操作を加えていない手術の場合レティナの効果はあまり高くないので、いれてないことをあまり気にされなくてもいいように思います。

[173] けいせい (2012/02/11 Sat 08:04)


Re^5: 鼻腔レティナについて

返答ありがとうございます。
一口に鼻の手術と言っても様々な手法があるのですね。医師の意見が聞けると安心します。
なにぶん、女の子ですので、見た目に関わることはすごく気になります。
娘に最善の治療が施されていると再認識出来ました。ありがとうございました。

[174] りん (2012/02/14 Tue 00:45)