先日、7ヶ月検診の時に子供が痕跡唇裂と診断されました。
出生後より、婦人科や小児科で症状を相談してはいましたが特に何の指摘もなく、たまたま転居後に選んだ小児科でやっと診断がつきました。
近いうちに手術して頂けると思っていたのですが、早くても年長になってからと言われました。
診察時は気が動転して『なぜ年長まで待たないといけないのか』など聞くことができずに終わってしまいました。
日を追うごとに様々な疑問が浮かび、毎日毎日調べて辿り着いたのがこちらです。
HPや過去の投稿も拝見しました。
親としては物心がつく前に、、今すぐにでも手術してもらえたらと思っていた次第です。
鼻の歪み、唇の山の亀裂、鼻の穴から唇の山までの線、、早く治してやりたいです。
幸い、口蓋裂はなく、近付いてよくよく見ないと気付かないくらい見た目は軽微な症状です。
授乳時の吸い付きも、素人判断ですが特に左右差は感じず、漏れたりすることなくきちんと吸えてます。
手術時期やその理由などについて、木村先生の意見をお聞かせ下さいませんか。
残念ながら貴院への通院は叶いませんので、、こちらからで恐縮です。
よろしくお願いします。
[290] ぷうママ (2017/10/22 Sun 21:50)
メールありがとうございます。
出生後すぐに診断してもらえなかったとのことですから、軽微な痕跡唇裂なのでしょう。
見ていないので何とも言えないのですが、一般的に唇裂で大きくわれている場合、最初の手術で9割ぐらいが治り、その後成長を見ながら必要に応じて相談しながら修正を追加していきましょう、とお話しています。痕跡唇裂は、おおむねその9割が治ったぐらいと同程度とみなされ、急ぐ必要はないのでゆっくり考えていきましょう、ということになるのだと想定されます。
手術の傷跡は線維組織そのものですから、周りの健常組織の成長より成長が悪くなります。ですので手術直後にきれいで左右対称にできても成長の過程で左右差の出てくることがあります。そこで、まとめて成長が終わった高校生ごろに治しましょう、小学校入る前に治しましょう、という話が出てきます。左右差が出たらすぐに治しましょう、という話にはあまりなりません。痕跡唇裂の場合、唇裂治療の流れに途中参加すると考えれば、これまでの先生から聞かれた話も根拠のあるはなしといえます。
直径1、2ミリのほくろがあったとして多くの親御さんはあまり急いで手術する必要性を感じたりしません。それはほくろというものを見慣れているからであり、ある程度あってもいいよね、というコンセンサスが社会にあるからです。ところが副耳や痕跡唇裂などは見慣れていないため、親御さんは、早く治療しなきゃ、という治療願望でいっぱいになってしまうようです。医療従事者は日常的に唇裂や副耳を見慣れており、急ぐ必要性がない場合は待つようにお話しすると思います。
唇裂手術の修正も途中からは本人がしたくないときに無理には修正しません。よくよく見ないとわからないレベルなら、本人がお友達に言われ気にし始めたときに治療を考えるでも遅くはありません。本人が気にならないなら一生そのままという選択枝もあります。
[291] 形成外科 木村得尚 (2017/10/23 Mon 13:20)
お返事ありがとうございます。
なるほど、、そのような理由で年長ということなんですね。
とてもわかりやすく説明して頂き、納得しました。
年齢が低い方が治りが早く綺麗になるのではないか、傷も目立ちにくいのではないか、などと安易に考えていました。
術後、成長に伴って左右差が出てくるなんて考えもしませんでした。
手術したら完治とばかり思っていましたから、、
女児なので特に、診断がついてからは早く治してやりたいと焦ってしまってました。
娘の目を見るよりも痕跡唇裂部に目線がいってしまい、、顔を見る度に鼻の柱を指で引っ張ってみたり、鼻の穴から唇までの皮膚を寄せてみたり、、親として情けないですね。
仮に年長に手術したとして、腫れや赤みなどはどのくらいでおさまるのでしょうか、、
人中陵?の左右差は対象に近くなりますか。
もちろん個人差はあると思いますが、、
[292] ぷうママ (2017/10/23 Mon 16:21)
赤みがどれぐらいでとれますか
体質によります。順調なら3か月で落ち着きます。
左右差は対称になりますか
術者の腕前によります。思いのほか痕跡唇裂は難しいです。
[293] 形成外科 木村得尚 (2017/10/23 Mon 20:18)
症状が軽微だからといって、簡易な手術で済むということには繋がらないんですね、、
木村先生に診て、手術してもらいたいというのが本心ですが、、通院など考慮すると難しく、諦めざるを得ません。
今回、痕跡唇裂というものをインターネットや書籍などで調べても情報が少なく、こちらのHPに辿り着いた時は藁にもすがる思いでした。
とてもお忙しいのは重々承知の上でなのですが、、HPに痕跡唇裂についても詳しく掲載して頂くことは難しいですか、、
症状や手術の方法、術後の経過、症例、、知りたい情報はまだまだ沢山あります。
きっと私と同じように痕跡唇裂の情報を求めている方はおられるはずです。
ご検討お願いします、、
[294] ぷうママ (2017/10/23 Mon 22:17)
写真ではちょっとしたくぼみ、ちょっとした傷跡はよくわかりません。術前術後の写真を並べてもよくわからないと思います。
よくよくみないとわからない症状をよくよくみてもわからない状態にするのは難しいものです。手術の際傷跡は残りますか、と聞かれれば、必ず残ります、と答えています。痕跡唇裂における問題点は、医者が頭の中に描いているゴールラインと親御さんの追い求める結果に大きな開きがあること、だと考えています。
[296] 形成外科 木村得尚 (2017/10/25 Wed 07:07)
そうですよね、、無理なお願い申し訳ありませんでした。
お尋ねしたいのですが、成長するにつれて少しくぼんだ赤い線が薄くなる、、またはわからなくなったという事例はありますか。
娘の場合、授乳などで口の形を変えた時や圧を加えたりしたらその時だけは線が皮膚と同化して見えなくなります。
このままなくなってくれるのではないかと期待してしまいます。
レーザーでぼかせたりできれば幸いなのですが、、難しいようですね、、
傷あとなどにも効果があるという炭酸ガスを注射で注入する方法も同様に、痕跡唇裂の傷?、、線には効果は期待できないですか。
馬鹿馬鹿しい質問ばかりすみません、、
傷が残る前提で手術に踏み切るのは親も本人も覚悟が必要だと思うので参考にさせて下さい。
[299] ぷうママ (2017/10/25 Wed 23:32)
口唇はお母さんのおなかの中で7週目に完成し、それからは基本かわりません。痕跡唇裂といえども筋肉の部分断裂を伴います。これは手術以外ではなかなか改善しないと思います。
炭酸ガス治療はわれわれの土俵ではないところでの治療なのでさっぱりわかりません。
[300] 形成外科 木村得尚 (2017/10/26 Thu 18:19)
筋肉の部分断裂を伴うということですが、このまま手術をしないという選択をした場合、機能的には問題はないのですか?
発語や歯並び、その他にも何か影響しませんか、、
[301] ぷうママ (2017/10/29 Sun 23:08)
基本的には見た目だけの問題です。
機能面での問題はないでしょう。
[302] 形成外科 木村得尚 (2017/10/30 Mon 11:19)
そうですか、、少し安心しました。
娘が年中くらいになったら、本人の意思も交えて手術をするか否か決めたいと思います。
いろいろとありがとうございました。
[303] ぷうママ (2017/10/30 Mon 15:32)