ご出産おめでとうございます。
当院も結構大きなNICUがありますので、2000グラム未満で生まれた患者さんの手術を年に数人しております。1600グラムぐらいだと鼻からチューブが入っていたりして口唇のテーピングも難しかったりします。体重が増えるのを気長に待ちましょう、といことになると思います。
唇顎裂という病名でも裂の形態は様々です。口唇は不全裂から完全裂まで様々ですし、顎裂もわずかなくびれから段差を伴う完全裂まで様々です。おそらくはご子息の顎裂は完全裂で真ん中側の顎が前方にでたパターンと思われます。
前方に突出した顎は口蓋床を作って抑え込むことがあります。ただし唇顎口蓋裂のように、口蓋まで割れている場合は口蓋床でかなり抑え込むことができるのですが、顎裂だけの場合は口蓋がひっついているのでなかなか動きません。外側顎が奥に引っ込んでいる場合小鼻のふもとも奥に引っ込んだ位置にあります。この位置が真ん中によって来て、前に出てこないとPNAM装置を作っても効果はあまりでません。本人は無理やり押し上げられて痛いだけで、ミルクを飲まなくなったりします。当院でも唇顎裂で顎裂の段差が大きな症例の場合、口蓋床で顎矯正もすれば、PNAMを行うこともありますが、ある程度改善した、というぐらいです。その分手術の比重が高くなってきます。術者の腕の見せ所です。
鼻の形のことを考える場合、鼻に手をつけずに形をよくしようと思えば軟骨が形状記憶する前の生後2、3か月ごろに手術したほうがいいでしょう、ということになるわけですが、小さく生まれてこられた患者さんは何か月での手術でも構いません、少しだけ鼻に手をかけてきれいにしましょう、というスタンスで手術をしています。治療の仕方の引き出しは患者さんの人数分揃っています。このホームページに載っている唇裂症例写真の患者さんは誰ひとりPNAMを行っていません。今は元気に退院できる日を目指していただければそれだけで十分です。
当院で治療を受けられるのであれば退院の頃、このホームページのメールアドレスに連絡を入れてみてください。
[230] 形成外科 木村得尚 (2015/02/10 Tue 16:32)