質問ありがとうございます。
<つる>という表現がどういうことをさしておられるのかわかりかねる部分もあるのですが・・・どうもない側より縫った側の赤い唇が少し上がった状態になっていることをさしていると想定して説明します。
不全唇裂といっても裂の形は様々です。与えられた条件で手術をするしかないわけで、時にどうもない側(以下、健側と表現します)に比べ縫った側(以下、患側)の長さが短くなることはよくあることです。というよりもほとんどすべての症例で直接縫えば患側のほうが短くなります。手術においてその差をいろんな技で補うことになります。その差が大きいと1回で治せないこともあります。そのような場合が想定されれば私は術前にそう説明しています。
あとは手術デザインや手術の技術的な問題で健側と同じ高さまでおろしきれない場合も想定されます。
また術後傷の落ち着くのには数か月かかりますが、この際傷が硬い状態になると傷が上下方向で縮むことになり引き攣れて患側が上がっていきます。その場合多くは1年ほどで落ち着いて、落ち着くとまた下がってきますが、若干上がったままで以後経過することもあります。術後の引き攣れが著しくなるかどうかは体質的なものも影響しますが、後療法も影響します。
我々は形成外科の総会や口蓋裂学会において不全唇裂に特化した手術法をこの数年続けて報告しております。人中稜の高まりをより左右対称にし、静止状態だけでなく、イー、ウーの形をしても左右対称になることを目指した手術を心掛けています。
切開をどこまでするかは裂の形、術者の考え次第で変わります。手術する先生に聞いてみてください。
[216] 形成外科 木村得尚 (2014/05/24 Sat 17:35)